Jul 16, 2022

マコンブの光合成における光の波長利用特性

3月に修士課程を修了した卒業生がマコンブの光合成における光の波長利用特性に関する論文をこのほど刊行しました。

マコンブは水深2〜15mでの漸深帯に生育しますが,クロロフィルaが光合成に利用する赤い波長の光はこの水深帯に十分に到達しません。本種の光合成を青,緑,赤色光のLEDと白色光(メタルハライドランプ:太陽光の波長構成に類似)で測定したところ,青い光のみで白色光と同等以上に光合成することが明らかになりました。マコンブが含有するフコキサンチンは,青色光に吸収スペクトルのピークがあることが知られていますが,このような補助色素が青色光のみの環境下で効率よく機能し,光合成をおこなっているものと考えられます。
本論文は,2022年7月4日付けのAlgal Research(IF=5.276)オンライン版で刊行されました。
Aoi Shindo, Iris Ann Borlongan, Gregory N. Nishihara, Ryuta Terada 2022.
Interactive effects of temperature and irradiance including spectral light quality on the photosynthesis of a brown alga Saccharina japonica (Laminariales) from Hokkaido, Japan.
Algal Research (IF=5.276)
Article #102777 DOI: 10.1016/j.algal.2022.102777