近年、藻場の減少等が各地で指摘されています。
藻場の保全や回復に向けた取り組みは、研究者や自治体、企業等の試験研究や事業が中心でした。
これらに加えて、地域の住民・団体が主体となって藻場を保全、回復させる活動も増えてきました。昨年度からは、これらの活動を支援する施策も始まりました。
地域の方々が藻場の保全に取り組む際には、現況を把握することが重要です。今年は、大隅半島の錦江町(旧:大根占)と鹿屋市の地域住民が取り組む藻場保全活動に協力することになりました。
という訳で、錦江町における藻場の現況を把握する調査を泊まり込みでおこないました。管内の海岸線をSCUBAとシュノーケリングで全て泳ぎ、藻場の分布と種構成を調査します。
海藻研からはA野くん、S木くん、K堀くん、私の4名が参加しました。他に、県や役場、漁業者の方々も参加しました。
手分けをしてすべての海岸線を泳ぎます。遊泳力とスピード、手際のよい採集が求められます。
藻場のあるところとないところがはっきり分かれましたが、ガラモ場とワカメ群落、テングサ群落が多く見られました。亜熱帯性のホンダワラ類では、フタエモクがよく見られました。葉の先端がカップ状になっていることで他種と区別できます。
港の近くには、亜熱帯性種の藻場が見られました。
錦江町は佐多岬と桜島の間に位置しますが、町内でも北と南で植生が異なります。最南端から北上して調査をおこないましたが、どんどん温帯性・内湾性の植生に変化しました。
二日目にはヤツマタモクの群落が見られるようになりました。ただし、亜熱帯性種も混生しています。
泳ぎ切った学生の皆さん(港に帰る途中)
2日間で管内の藻場分布を把握することができました。関係の皆様に深く御礼申し上げます。